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町の獣医さん・小動物科


鳥の甲状腺腫

 甲状腺が腫瘍化するために呼吸の乱れや肥満を引き起こす病気、甲状腺腫。
甲状腺は、身体の成長や血中カルシウム濃度などを調節するホルモンを分泌する器官で、頚〜胸部入り口部分に位置します。甲状腺腫は、セキセイインコ、カナリア、ハトなどの飼鳥、野鳥を含めて多くの鳥種において確認されています。セキセイインコには日常的に見られる疾患です。

 
 原因
 
(1)ヨードの不足
 発生原因に関してはまだ不明な部分もありますが、多くの場合、食事中の栄養素ヨードが慢性的に不足し、血中のヨード濃度が低レベルであることが信号となって甲状腺組織が増生し(過形成)、腫瘍化すると考えられています。ヨードは甲状腺ホルモンを作るための材料で、その産生を補うために甲状腺が腫大すると言われています。

(2)甲状腺種誘発物質の摂取
また、十分なヨードを摂取していても、甲状腺腫誘発物質がホルモンの正常な生産を妨げることも原因のひとつとして考えられています。甲状腺種誘発物質は、多くの食品に含まれていますが、その中でも小鳥に与える可能性があるものとしては、大豆、菜種(アブラナの種子)、ケール、キャベツ、ブロッコリー、カブなどです。その他、有機リンやビフェノール(環境ホルモンの一種)など化学物質の関与も指摘されています。


 
 症状
 
(1)呼吸の乱れ
 甲状腺の腫大が軽度のうちは、見てわかる症状はほとんどありません。進行すると、大きくなった甲状腺が気管を圧迫するため、口を開けて呼吸するようになります。また、「ヒーヒー」、「ピーピー」というような呼吸音が聞かれる場合もあります。さらに喉が切れて出血(喀血)する場合もあります。

(2)肥満
甲状腺腫の鳥の多くに肥満が見られます(代謝機能が低下してしまうため)。

(3)羽毛の退色や粗毛(毛が抜ける)
甲状腺腫が慢性化すると、羽毛の退色や粗毛が見られます。

 

 診断
 
X線検査で腫大した甲状腺を確認します。
呼吸の乱れから、呼吸器系の疾患と誤診されることがありますので、X線検査にて確認する必要があります。


 
 治療
 
甲状腺ホルモン製剤や、ヨード剤を投与します。
肥満が著しい場合は、食事療法もあわせて行います。
投薬治療後も症状が改善しない場合は、甲状腺癌の可能性が高く、この場合は回復が難しくなるかもしれません。


 
 予防
 
(1)ヨードを与える
ヨードが豊富な食品を日常的に与えることが第一の予防ですが、ヨードはボレー粉に多少含まれているにすぎず、実際食品から十分な量を摂るのは困難です。ヨードを含む栄養剤等を飲み水に混ぜると、手軽にヨードを摂取することができます。

(2)甲状腺腫誘発物質を含む食品を与えない
甲状腺種誘発物質は、多くの食品に含まれていますが、その中でも小鳥に与える可能性があるものとしては、大豆、菜種(アブラナの種子)、ケール、キャベツ、ブロッコリー、カブなどです。これらの食品を与えないようにしましょう。

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